近年の購買は、店舗よりもインターネットが主戦場になっているため、多くの企業がECに注力しています。
そこで必要とされるのが、物流倉庫です。
とりわけ、ECに特化したフルフィルメントセンタータイプの物流倉庫は、急速に受注件数を増やしています。
物流倉庫の利用は、ビジネスの効率化、コスト削減、迅速な出荷体制にとって最も重要な要素といっても過言ではありません。
物流倉庫の役割、種類、業務内容、メリット、デメリット、そして信頼できる倉庫会社の選び方までを解説します。
物流倉庫の役割と種類
物流倉庫は、単に商品を保管するだけではありません。
「物流」の名の通り、効率的に商品を届けるための全プロセスを支援する役割を果たしています。
物流倉庫の役割は「保管機能」と「流通機能」に大別されますが、細かな機能を備えた様々な種類の倉庫が存在しています。
保管機能
在庫の安定供給を確保するために、製品や部品を長期的に保管します。
保管には、普通倉庫、定温倉庫などがありますが、食品、医薬品など、温度や湿度を一定に保つ必要がある商品を保管する場合には、温度管理機能のある倉庫を選択します。
流通機能
短期間で在庫を回転させる仕組みが整えられています。
以下が代表的な流通型の物流倉庫です。
ディストリビューションセンター（DC）
物流のハブとして機能し、商品を一時保管しつつ小売店や顧客への配送を行います。
フルフィルメントセンター（FC）
主にEC向けの物流施設で、注文処理、ピッキング、梱包、配送などの一連の流れを一箇所で完結させるタイプの倉庫です。
トランスファーセンター（TC）
商品を保管せずに、入荷した商品を迅速に配送拠点へと送り出す通過型倉庫であり、在庫を最小限に抑えた効率的な流通を実現します。
物流倉庫の主要業務内容
物流倉庫では、在庫の管理から出荷までの一連の業務が行われます。
入庫・検品
倉庫に入荷した商品が指示通りに揃っているか、破損がないかなどを確認します。
入庫後の商品に傷や破損がないかを確認する検品は、商品の品質保証に不可欠な工程です。
検品結果は在庫管理システムに反映されるため、誤出荷防止に基礎データになります。
ピッキング
注文データに従い、倉庫内から該当商品を取り出します。
効率的な作業導線の設計やバーコードなどを活用したデジタル化によって、精度と効率の向上が図られています。
シングルピッキング（単品取り出し）とバッチピッキング（複数注文の一括取り出し）があり、注文量や商品特性に応じて適した方法が選ばれます。
近年はピッキングの自動化（機械化）が進んでいます。
流通加工
ラベル貼り、包装、キッティング（セット組み）など、付加価値を加える加工業務です。
求められる仕様に応じた加工で、顧客ニーズに対応します。
ギフトラッピング、値札の付加、アソート作業など多岐にわたり、販売促進やブランディングを考慮した商品作成が行われます。
梱包・出庫
ピッキング後の商品を適切に梱包し、破損や汚損防止の緩衝材を用意するなどして、出荷準備を行います。
出庫前には、最終的な検品を行い、商品の欠品や破損を確認します。
梱包作業には、商品サイズや形状に応じた対応が求められ、特に割れやすい商品などは入念な対応が必須になります。
物流倉庫のメリットとデメリット
物流倉庫の利用には以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
リソース効率化
物流業務のアウトソーシングで、自社の人的リソースを本来の業務に集中させられます。
コスト削減
物流倉庫の利用は、初期投資や維持費の削減につながり、変動する物流量にも柔軟に対応できるため、トータルでのコスト削減になります。
最新システムの活用
最新のWMS（倉庫管理システム）や自動化機器の活用で、人的エラーの減少や業務の効率化が実現できます。
デメリット
ノウハウの蓄積
自社で物流を管理しない場合、物流に関するノウハウが蓄積されないため、将来のビジネス展開に支障をきたす可能性があります。
情報共有化
外部倉庫との連携に問題があれば、注文や出荷のタイムラグ発生リスクがあり、顧客対応に影響する可能性があります。
物流倉庫会社の選び方
物流倉庫会社を選ぶ際には、自社ニーズに合ったサービスを見つけなければいけません。
専門性
EC特化のフルフィルメントセンターや特定の商品タイプに対応する専門倉庫など、ニーズに適した物流倉庫を選びます。
需要変動や季節特性に合わせた効率的な物流管理への対応有無もポイントになります。
カスタマイズ性
検品、流通加工、在庫管理の追加オプション提供、またラベル付けやギフト包装などの付加サービスへの対応有無も確認します。
最新システム導入
IoTやAIを活用した在庫管理、自動化されたピッキング・梱包ラインの導入などの最新技術への投資も重要なポイントになります。
日進月歩の物流先端技術の活用で、より正確かつ迅速な物流サービス提供の可能性が高まります。
今後の物流倉庫
物流倉庫は、急速に進化するテクノロジーにより激変しています。
スマート物流への移行の代表例として、AIによる需要予測、IoTによるリアルタイム在庫管理、ドローンやAGV（無人搬送車）による自動配送などあり、特区を利用して試験導入が進んでいます。
労働人口の減少を控え、物流業界は大変革を求められています。
先端技術の積極導入で、より効率的で正確な物流サービスが実現され、消費者の多様なニーズに迅速に応えられるよう、倉庫も含め、業界全体が変化しているのです。
まとめ
物流倉庫の活用は、物流業務の効率化、コスト削減、顧客満足度の向上に大きく貢献し、企業の売上伸長を後押しするでしょう。
商品の保管から在庫管理、出荷作業までを一括で外部委託すれば、企業は本業に集中できるため、資源の効率化が実現できます。
物流倉庫会社の選定では、倉庫のタイプ、提供サービスの範囲、システムや技術の対応状況を確認し、自社ニーズに合ったパートナーを選びます。
AIやIoT技術を導入し、在庫管理やピッキングの自動化を進める先進的な倉庫会社は、物流のデジタル化にも対応できるため、長期的な観点で有望です。
一方で、外部委託による情報伝達の遅れやノウハウの蓄積不足といった課題もあるため、社内外の連携体制を整備し、常にコミュニケーションを密に保たなければいけません。
物流倉庫の選定では利点と課題を踏まえ、コスト面に加え、サービス内容、柔軟性、信頼性を総合的に評価し、最適なパートナー選びにつなげていきます。
