宿泊業、飲食サービス業の特色や代表する企業

宿泊業、飲食サービス業は、観光需要と密接に結びついた産業で、旅行者に宿泊場を提供する宿泊業と食事を提供する飲食サービス業に大別されます。

日本経済における雇用創出や地域経済への貢献度が高いだけでなく、日本の「おもてなし文化」を象徴する産業でもあり、海外からの旅行客にも高い評価を得ています。

しかし、2020年以降のコロナ感染症の影響を最も受けたのは宿泊業、飲食サービス業で、大きな変化を遂げざるを得なくなりました。

リモートワークや新しい旅行スタイルの普及で宿泊業や飲食サービス業のビジネスモデルが見直され、多くの企業がデジタル化を進めており、新たな産業の芽が育ってきているのは怪我の功名だったかもしれません。

宿泊業,飲食サービス業の特色

宿泊業と飲食サービス業の特色は、業態のサービス内容と運営形態によって異なります。

宿泊業の特色

多様な宿泊施設の形態

日本国内では、ホテル、旅館、民宿、カプセルホテル、ゲストハウス、さらに近年人気を博しているグランピング施設など、多様な宿泊形態が展開されています。それぞれの施設はターゲット層や提供する体験に応じて差別化を図っています。高級ホテルではラグジュアリーな時間が提供され、一方でゲストハウスではリーズナブルな価格と交流の喜びを売りにしています。

観光地との連動性

宿泊業は観光地と密接な関連があります。旅行者が訪れる旅行ガイドに載るような有名観光地では、宿泊施設が地域経済の中核を担っており、地域の特産品や文化を取り入れた体験が提供され、地元の活性化に貢献しています。

高水準のサービス

日本の宿泊業は「おもてなし」を特徴とした高いサービス品質で知られています。旅館では細やかな配慮が行き届いた和風の食事やサービスが提供されることが多く、海外からの旅行者に好評です。

飲食サービス業の特色

多彩な業態

ファミリーレストラン、居酒屋、カフェ、フードトラック、高級レストラン、ファストフード店など、多様な業態が展開されています。近年では宅配専門店やゴーストキッチン(配達専用の店舗)など、低価格を前提にした新しいビジネスモデルも登場しています。

テクノロジー活用

デジタル技術を活用した効率化が進展しています。予約アプリ、QRコード決済、ロボットによる配膳サービスなどが普及しており、顧客体験の向上や業務効率化、省力化が図られています。

産業分類における宿泊業,飲食サービス業

日本標準産業分類において、宿泊業,飲食サービス業は「大分類 M」に属しています。

この分類には、以下の中分類~細分類が含まれます。

中分類 75  宿泊業

  • 750  管理,補助的経済活動を行う事業所(75宿泊業)
    • 7500  主として管理事務を行う本社等
    • 7509  その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 751  旅館,ホテル
    • 7511  旅館,ホテル
  • 752  簡易宿所
    • 7521  簡易宿所
  • 753  下宿業
    • 7531  下宿業
  • 759  その他の宿泊業
    • 7591  会社・団体の宿泊所
    • 7592  リゾートクラブ
    • 7599  他に分類されない宿泊業

中分類 76  飲食店

  • 760  管理,補助的経済活動を行う事業所(76飲食店)
    • 7600  主として管理事務を行う本社等
    • 7609  その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 761  食堂,レストラン(専門料理店を除く)
    • 7611  食堂,レストラン(専門料理店を除く)
  • 762  専門料理店
    • 7621  日本料理店
    • 7622  料亭
    • 7623  中華料理店
    • 7624  ラーメン店
    • 7625  焼肉店
    • 7629  その他の専門料理店
  • 763  そば・うどん店
    • 7631  そば・うどん店
  • 764  すし店
    • 7641  すし店
  • 765  酒場,ビヤホール
    • 7651  酒場,ビヤホール
  • 766  バー,キャバレー,ナイトクラブ
    • 7661  バー,キャバレー,ナイトクラブ
  • 767  喫茶店
    • 7671  喫茶店
  • 769  その他の飲食店
    • 7691  ハンバーガー店
    • 7692  お好み焼・焼きそば・たこ焼店
    • 7699  他に分類されない飲食店

中分類 77  持ち帰り・配達飲食サービス業

  • 770  管理,補助的経済活動を行う事業所(77持ち帰り・配達飲食サービス業)
    • 7700  主として管理事務を行う本社等
    • 7709  その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 771  持ち帰り飲食サービス業
    • 7711  持ち帰り飲食サービス業
  • 772  配達飲食サービス業
    • 7721  配達飲食サービス業

宿泊業,飲食サービス業の規模

宿泊業と飲食サービス業は、日本国内で人々の生活に密着し、大きな市場規模を誇る産業であり、多くの雇用を生み出しながら地域経済や観光業と密接に結びついています。

宿泊業の市場規模

市場規模の概観

日本の宿泊業市場は、年間約2兆円規模とされており、訪日外国人旅行者(インバウンド需要)と国内旅行需要が成長の牽引役になっています。
コロナ感染症が収束し、訪日外国人旅行者が回復してきた2023年以降、市場は再び拡大傾向にあり、インバウンド需要がコロナ前の水準を上回る見込みですが、オーバーツーリズムの問題が顕在化してきました。

施設数と利用状況

日本国内には約5万軒以上の宿泊施設が存在し、その内訳はホテルが約1万3千軒、旅館が約3万軒、簡易宿所(ゲストハウスやカプセルホテル含む)が約7千軒です。訪日外国人旅行者の宿泊者数は2019年には約1億人泊を超えており、特に都市部の高級ホテルや観光地の旅館に集中しています。

課題

宿泊業界は、インバウンド需要に加え、近年増加しているリモートワークやワーケーションといった新しい旅行スタイルを取り入れる動きが活発です。一方で、少子高齢化による国内旅行需要の減少や、人手不足、デジタル化の遅れといった課題も指摘されています。

飲食サービス業の市場規模

市場規模

飲食サービス業全体の市場規模は、年間約30兆円とされ、GDPにおける重要部分を占めます。内訳は、レストラン、居酒屋、ファストフード、カフェなどの「一般飲食店」が大部分で、それに加え、テイクアウトやデリバリーサービスが急成長しています。コロナ感染症の影響で一時縮小したものの、2023年にはコロナ前の約98%まで回復しました。

業態別の内訳

飲食サービス業には以下のような主要業態があります。

  • ファストフード業態:市場規模約5兆円(例:マクドナルド、モスバーガー)
  • ファミリーレストラン業態:市場規模約3兆円(例:ガスト、サイゼリヤ)
  • 居酒屋業態:市場規模約2兆円(例:鳥貴族、白木屋)
  • カフェ業態:市場規模約1.2兆円(例:スターバックス、コメダ珈琲店)
  • テイクアウト・デリバリー業態:市場規模約2.5兆円(コロナ禍以降急成長)

従業員数と雇用への影響

飲食サービス業は、約500万人の雇用を創出しており、日本国内でも大きな雇用規模を持つ産業のひとつです。流動的なパートタイムやアルバイトが大半を占めているため、安定的な人材確保が課題となっており、短期単発バイトで急場をしのぐ事例も散見されはじめています。一方で、ロボットやAIを活用した効率化が進められており、人手不足解消に向けた根本的な取り組みも進んでいます。

デジタル化

飲食サービス業界では、大手を中心にデジタル化が急速に進行しています。モバイルオーダーやオンライン予約、QRコード決済などの導入が顧客満足度の向上と省力化に寄与していますが、個人経営の店舗などでは従来の属人的運営が継続されており、格差が広がりつつあります。

宿泊業,飲食サービス業を代表する企業

宿泊業と飲食サービス業には、各分野で広く知られる代表的な企業が存在します。

宿泊業を代表する企業

帝国ホテル

株式会社帝国ホテル

ホテル業

ロイヤルホテル

株式会社ロイヤルホテル

ホテル業

京都ホテル

株式会社京都ホテル

ホテル業経営

オークラニッコーホテルマネジメント

高級ホテルチェーンとして国内外に展開しており、日本の「おもてなし」を体現する企業です。

株式会社オークラニッコーホテルマネジメント

宿泊業

星野リゾート

伝統と革新を融合した宿泊体験を提供し、独自のブランド力を持つ企業として知られています。地域資源を活用したリゾート施設の運営が特徴です。

株式会社星野リゾート

リゾート・温泉旅館の経営、運営受託

東横イン

ビジネスホテルの代表格で、リーズナブルな価格と便利な立地が強みです。日本国内だけでなく海外にも展開しています。

株式会社東横イン

エコノミーホテルの運営

飲食サービス業を代表する企業

ゼンショーホールディングス

すき家、なか卯、ココスなど多くのブランドを持つ大手飲食企業です。多様な業態を展開し、国内外で高いシェアを誇ります。

株式会社ゼンショーホールディングス

フードサービスチェーンの経営、販売システム・食材加工システムの開発

サイゼリヤ

ファミリーレストラン業界の代表格で、コストパフォーマンスの高さが特徴です。

株式会社サイゼリヤ

イタリヤ料理店「サイゼリヤ」をチェーン展開するフードサービス
業 全国に800店舗のレストランと福島、埼玉、神奈川、兵庫の
4工場を有しています。

コメダ珈琲店

名古屋発祥のカフェチェーンで、独特の雰囲気とボリューム満点のメニューが人気です。

株式会社コメダ

コーヒーショップおよびフランチャイズチェーンの経営

小僧寿し

KOZOホールディングス株式会社

当社は、創業50年を超える、老舗持ち帰り寿し店小僧寿しを運営
しております。お寿司という日本の伝統食を通して、多くのお客様
においしい笑顔とおいしさを提供しております。

リンガーハット

株式会社リンガーハット

長崎ちゃんぽん「リンガーハット」ととんかつ「浜勝」のチェーン経営および商品の製造・加工

木曽路

株式会社木曽路

「しゃぶしゃぶ・日本料理の木曽路」を中心とする飲食店の経営

グルメ杵屋

株式会社グルメ杵屋

飲食店の多角経営

吉野家ホールディングス

株式会社吉野家ホールディングス

牛丼の調理販売

松屋フーズホールディングス

株式会社松屋フーズホールディングス

牛めし定食店「松屋」のチェーン店
ラーメン事業、鮨事業、とんかつ事業

王将フードサービス

株式会社王将フードサービス

中華料理レストランチェーン。店舗ごとにお客様のニーズに合わせ
たメニューづくり、味づくりにこだわり、店舗スタッフが店舗を作
り上げる「店舗主体経営」を推進しています。

壱番屋

株式会社壱番屋

カレーハウスCoCo壱番屋フランチャイズチェーン本部

日本マクドナルドホールディングス

日本マクドナルドホールディングス株式会社

くら寿司

くら寿司株式会社

回転寿司チェーンの経営

すかいらーくホールディングス

株式会社すかいらーくホールディングス

フードサービス事業全般 ※株式会社すかいらーくレストランツを含むデータ

宿泊業,飲食サービス業の市場動向

宿泊業・飲食サービス業は、日本の観光産業や地域経済に密接に関連する重要な産業であり、社会や経済環境の変化に重大な影響を受けています。

不景気になれば、真っ先に切られるのが、旅行や外食の費用なのです。

近年は、コロナ感染症の影響や技術革新、ライフスタイルの多様化によって大きな変化が生じています。

宿泊業の市場動向

インバウンド需要の回復

コロナ感染症による渡航制限が緩和され、2023年以降、訪日外国人旅行者(インバウンド)の数が急速に回復しています。2024年にはコロナ禍前(2019年)を上回りました。
東京、大阪、京都といった都市部に加え、地方の温泉地や自然観光地(例:箱根、富士山、沖縄)への訪問も増加しています。これに伴い、地方の宿泊施設の需要が高まり、宿泊代の相場が高騰しています。

デジタル化の進展

無人チェックインやIoT技術を活用した客室管理システムなど、効率化を重視したスマートホテルが増加しています。これにより、少ない人員で高品質なサービスを提供する取り組みが実現されつつあり、完全無人の「変なホテル」が話題を集めました。楽天トラベル、じゃらん、Booking.comなどのオンライン予約サイトが引き続き市場をリードしており、この連携を含め、宿泊施設のデジタルスキルが重要性を増しています。

飲食サービス業の市場動向

デリバリー・テイクアウト市場の拡大

ウーバーイーツや出前館といったデリバリーサービスの拡大が続いています。特にコロナ感染症の影響で外食を控える傾向が強まった時期に利用者が急増し、現在もその利便性から安定した需要を維持しています。
ゴーストキッチン(配達専用の飲食施設)が都市部を中心に増えており、初期投資を抑えつつ多様なメニューを提供する新しい業態として注目されています。

デジタル化とAI技術の活用

多くの飲食店がQRコードなど、電子マネーによるセルフオーダーシステムを導入しており、効率化と人件費削減を実現しています。AIを活用した需要予測や在庫管理が進化しており、フードロス削減や業務効率化に貢献しています。

人手不足への対応

宿泊業・飲食サービス業では、慢性的な人手不足が深刻な課題となっています。業務効率化や自動化推を目的に、無人ホテルやロボットによる配膳サービスなどの取り組みが急速に広がっています。

まとめ

宿泊業と飲食サービス業は、日本の長所が最もよく表現された産業であり、おもてなしの精神で常に進化を続けています。

単に宿泊や食事を提供するだけのサービス業にとどまらず、地域経済の活性化、文化や伝統の発信などの役割を担い、日本の素晴らしさを体験を通じ、世界にアピールしてくれているのです。

セグメントも明確で、高級ホテルはラグジュアリーな体験を追求し、リーズナブルな価格帯を重視する宿泊所は便利さや手軽さの魅力を磨き、差別化を図っています。

飲食サービス業でも、ミシュランン三つ星から牛丼店まで、多種多様なジャンルが展開され、それぞれに合った美味しさを提供しています。

インバウンド客の一番のお目当てが、寿司、とんかつ、和牛などの「食」になっている点からも、日本食の魅力が世界レベルであるとわかります。

また、地域限定メニューやデジタル技術の導入など、業態や顧客層に応じた多彩な取り組みが進められており、それがエンタメとしての魅力にもなっています。

宿泊業,飲食サービス業において、デジタル化やオンラインサービスの普及は、業界全体の効率化をもたらすでしょうが、それだけでは人間味が欠落してしまいます。

技術革新の活用と、日本特有の「おもてなし」の両立が、業界全体の競争力を高める鍵となるはずです。

宿泊業と飲食サービス業は日本の経済と文化の両面において欠かせない存在なので、今後も業界の発展を支える新しい取り組みやアイデアを追い続けていく必要があるでしょう。

関連リンク集

(公社)日本観光振興協会
(一社)日本温泉協会
(一社)日本観光通訳協会
(一社)日本ホテル協会
(一社)日本旅館協会
(公社)国際観光施設協会
(一社)国際観光日本レストラン協会
(一社)日本旅行業協会
(一社)全国旅行業協会
(一社)全国農協観光協会
(一社)日本オートキャンプ協会
(一社)全日本ホテル連盟
(一社)日本民宿協会
(一社)住宅宿泊協会
(一社)日本ファームステイ協会
(一社)日本添乗サービス協会
(一社)日本ホテルバーメンズ協会
(一社)日本海外ツアーオペレーター協会
(公財)日本交通公社
(公財)日本修学旅行協会
(公財)日本ナショナルトラスト
(一財)日本ホテル教育センター
(一財)国際観光サービスセンター
(一財)地域伝統芸能活用センター
(一財)アジア太平洋観光交流センター
ジャパニーズ イン グループ
(一社)日本民営鉄道協会
(公社)日本バス協会
(一社)全国ハイヤー・タクシー連合会
(一社)全国個人タクシー協会
(一社)全国レンタカー協会
(一社)日本旅客船協会
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(一社)国民宿舎協会
(一財)自然公園財団
全国観光土産品連盟・全国観光土産品公正取引協議会
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会
全国「道の駅」連絡会
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国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所
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ASEANTA(ASEAN TOURISM ASSOCIATION)
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 (一社)日本惣菜協会
 (一社)日本フードサービス協会
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 (公社)日本べんとう振興協会
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(独)農林水産消費安全技術センター
(公財)食品等流通合理化促進機構
(一社)日本冷凍食品協会
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(一社)日本農林規格協会
全国給食事業協同組合連合会