ゴム製品製造業の特色や代表する企業|タイヤは世界一

ゴム製品製造業は、天然ゴムや合成ゴムを原材料に、文字通りゴム製品を製造する産業です。

その特性である弾力性、耐熱性、耐油性を最大限に活用し、自動車、医療、電子機器などの幅広い分野の、さまざまな用途に適した製品を開発しています。

代表的な製品には、馴染のある自動車用タイヤ、ゴム手袋、履物などの他、ビジネスユースとして工業用ホース、防振材などもあります。

製品の幅広さと絶え間ない技術革新が特徴で、特に自動車用タイヤにおいては世界的規模の企業が多く、シェア世界一は我が国のブリヂストンです。

世界に冠たる技術力で、電気自動車(EV)の普及に伴う、低転がり抵抗タイヤや軽量素材の開発が進められ、ライバルを引き離そうとしています。

また、製造工程には、原材料の配合、加硫、成形、仕上げといった高度な技術が求められ、積極的な技術革新が進んでいます。

ゴム製品製造業の特色

ゴム製品製造業の大きな特徴は、使用される素材と複雑な製造工程にあります。

主な素材は天然ゴムと合成ゴムで、特に合成ゴムは石油化学工業を背景に急速に進化し、さまざまな特性を持つ製品製造を可能にしました。

合成ゴムには耐熱性や耐油性に優れ、自動車用タイヤや工業用ホース、シール材などで広く用いられます。

一方、天然ゴムは伸縮性や弾力性などの特性から、精密機器の防振材や医療用製品に使われます。

さらに、製品の特化傾向も顕著で、日本のゴム製品製造業は自動車関連や工業用ゴム製品の開発で世界トップクラスの技術を持っていますが、中国やインドなどの新興国は、コスト競争力を武器に日用品や汎用的な工業用製品など、先端技術を必要としない製品分野での大量生産で存在感を発揮しています。

産業分類におけるゴム製品製造業

日本標準産業分類において、ゴム製品製造業は中分類19に分類されており、以下のような細分化された業種が含まれます。

小分類と細分類

  • 190  管理,補助的経済活動を行う事業所(19ゴム製品製造業)
    • 1900  主として管理事務を行う本社等
    • 1909  その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 191  タイヤ・チューブ製造業
    • 1911  自動車タイヤ・チューブ製造業
    • 1919  その他のタイヤ・チューブ製造業
  • 192  ゴム製・プラスチック製履物・同附属品製造業
    • 1921  ゴム製履物・同附属品製造業
    • 1922  プラスチック製履物・同附属品製造業
  • 193  ゴムベルト・ゴムホース・工業用ゴム製品製造業
    • 1931  ゴムベルト製造業
    • 1932  ゴムホース製造業
    • 1933  工業用ゴム製品製造業
  • 199  その他のゴム製品製造業
    • 1991  ゴム引布・同製品製造業
    • 1992  医療・衛生用ゴム製品製造業
    • 1993  ゴム練生地製造業
    • 1994  更生タイヤ製造業
    • 1995  再生ゴム製造業
    • 1999  他に分類されないゴム製品製造業

ゴム製品製造業を代表する企業

世界規模の経営で、ゴム製品製造業を代表する企業です。

株式会社ブリヂストン

世界最大級のタイヤメーカーで、ゴム製品の研究開発や製造技術において世界をリードしています。

自動車用タイヤのみならず、航空機用タイヤや産業機械用部品など幅広い製品を展開しています。

株式会社ブリヂストン

ブリヂストングループは、タイヤ業界のグローバル・リーダーとして、主としてタイヤ・チューブの製造・販売、タイヤ関連用品の販売及び自動車整備・補修を行う「タイヤ部門」と、化工品、スポーツ用品、自転車の製造及び販売、その他各種事業などの「多角化部門」によって構成されています。また、中長期戦略として、タイヤ・ゴム事業の強みを生かしたソリューションカンパニーを目指しています。

横浜ゴム株式会社

タイヤ製造のほか、工業用ゴム製品や航空機部品を手掛ける多角的企業です。

高い技術力と耐久性で国内外で抜群の信頼を得ています。

横浜ゴム株式会社

各種タイヤ、工業用ゴム製品、航空宇宙部品、スポーツ用品などの製造・販売

住友ゴム工業株式会社

「ダンロップ」のブランドで知られるタイヤメーカーで、スポーツ関連製品や医療用ゴム製品の製造でも実績があります。

住友ゴム工業株式会社

自動車用、トラック・バス用、モーターサイクル用等各種タイヤの製造・販売 精密ゴム部品、制振ダンパー、人工芝等産業品の製造・販売

ゴム製品製造業の規模

ゴム製品製造業は、日本の基幹産業である自動車の関連製品を中心に発展しており、製造業の中でも重要な位置を占めています。

日本国内のゴム製品製造業の市場規模は約2.3兆円と推定され、このうち自動車用タイヤが全体の約70%以上を占めています。

残りは産業用ゴム製品(ホース、防振材、コンベヤーベルトなど)や日用品(ゴム手袋、靴、文房具など)です。

従業員数は、業界全体で約8万人が従事し、中小企業から大企業まで幅広い企業が活動しているので、特に地方における雇用創出の重要な担い手となっています。

主たる輸出先は、中国を中心としたアジア、北米や欧州で、特にアジア地域ではモータリゼーションが進展する中国やインドで需要が増加しています。

一方で、国内市場では少子高齢化やコンパクトカーやエコカー需要の影響を受け、製品の高付加価値化が求められています。

ゴム製品の主要分野別の市場規模

自動車用ゴム製品(タイヤを含む)

ゴム製品製造業の中核は、なんといっても自動車タイヤ市場で、ブリヂストン、住友ゴム、横浜ゴムなどが自動車用タイヤ製造において、国際的に大きなシェアを持っています。燃費向上を目的とした低転がり抵抗タイヤや電気自動車(EV)向けの専用タイヤが今後の市場を牽引すると予想されています。

日用品およびその他

ゴム靴、消しゴム、ゴムバンドなどの日用品も一定の市場を形成しています。特にアジアやアフリカなどの新興市場での需要が堅調です。

産業用ゴム製品

工業用途で使われるゴム製品(ホース、シール材、防振材など)は、インフラ開発や機械産業の成長に伴い需要が高まっています。特に建設機械や農業機械、航空機産業などの分野で重要な役割を果たしています。世界では高品質な防振材や耐熱ホースが需要を集めており、国内生産分の多くが輸出に割り当てられています。

医療用ゴム製品

高齢化の進展で、ゴム手袋やカテーテル、輸液バッグなどのニーズが旺盛です。一時期はコロナで使い捨て医療用ゴム製品の需要が急拡大しました。今後も衛生意識の高まりで引き続き成長が期待されています。

今後の成長見通し

ゴム製品製造業は、2030年までに年平均成長率4~5%の成長が予測されています。

特に電気自動車関連や再生可能エネルギー産業の成長が新たな需要を生み出すとされています。

また、リサイクル技術やバイオ由来素材の進化により、環境負荷を抑えた製品が今後の市場の主流になると見られています。

ゴム製品製造業の未来と課題

技術革新や市場環境の変化が急速に進む中で、ゴム製品製造業が直面している課題と今後の成長戦略が注目されています。

未来の展望

環境対応型製品の需要拡大

環境意識の高まりで、ゴム製品製造業も持続可能性を求められています。欧州や北米市場では環境負荷の少ない製品が市場の中心となっており、企業はこれに応じた製品開発を強化し、廃タイヤのリサイクル技術やバイオ由来ゴム(天然ゴムの代替素材)などの研究開発が進んでいます。

新興国市場の成長

アジア、アフリカ、南米などの新興市場では、都市化と経済成長に伴い、自動車産業やインフラ整備が進んでおり、タイヤや産業用ゴム製品の需要が急増しています。中国だけでなく、インドや東南アジア諸国でも自動車市場の拡大でタイヤや防振材などの需要が拡大しており、現地生産や現地パートナーとの提携が重要な戦略となっています。

課題

環境規制への対応

世界的に厳格化する環境規制は、ゴム製品製造業に大きな影響を与えています。ゴム製品の製造には化学薬品やエネルギーが大量に使用されるため、排出ガスや廃棄物の削減が急務となっており、各国で進むプラスチック・ゴム製品の使用制限に対応するため、製造プロセスや素材の見直しが求められています。

新興国企業との競争

新興国では、安価な労働力を背景にゴム製品の大量生産が進んでいます。とりわけ中国やインド、インドネシアは、低コストを武器に国際市場で存在感を高める一方で、日本企業は高付加価値製品に注力して競争力を維持していますが、長期的には価格競争に巻き込まれ、不利な立場になるリスクがあります。技術革新による品質向上やブランド力の強化が不可欠です。

デジタル化における投資負担

IoTやAI技術の導入は、製造効率や製品品質を向上させる一方で、大規模な初期投資を伴います。特に中小企業ではデジタル化への資金確保が困難で大手企業との差が広がるリスクがあります。また、デジタル人材の不足も大きな課題になっているため、政府の支援政策や企業間での技術共有が重要になるでしょう。

まとめ

ゴム製品製造業は、絶え間ない研究開発、高度な技術力、多様な製品群で、自動車、医療、電子機器など多岐にわたる分野を網羅的に支える重要な産業です。

もしゴム製品製造業の競争優位がなければ、日本の産業界全体が地盤沈下していたかもしれません。

その規模は国内外においても大きく、特に技術に裏打ちされた高品質な製品で国際的な競争力を維持しています。

それはタイヤにおいて顕著で、世界NO1メーカーは日本のブリヂストンです。

一方で、環境問題への対応や新興国市場での競争など、多くの課題にも直面しており、この克服には、持続可能性を追求した、さらなる技術革新やデジタル化による生産性向上が不可欠になるでしょう。

ゴム製品製造業は世界的にも優位性があるため、一層の進化を遂げる可能性は高く、日本経済への貢献が期待されています。