学術研究,専門・技術サービス業の特色や代表する企業

学術研究,専門・技術サービス業は、日本標準産業分類で「大分類L」に位置付けられる分野で、科学的・学術的な研究活動や高度な専門知識に基づく技術サービスを提供する業種です。

現代社会における課題解決や産業の高度化を理論的、法的に支える役割を担っており、その裏方としての活動の価値は極めて高いといえます。

具体的には、基礎研究を行う研究機関、企業の技術開発を支援するコンサルティング業、建築設計や測量、地質調査などの技術サービス、さらには医薬品やエネルギー関連の試験研究を行う機関、法律事務所や公認会計士事務所などが含まれます。

共通するのは、知識集約型産業で専門性の高い人材の知見がその中心にある点です。

学術研究,専門・技術サービス業が、日本企業のグローバル競争の行方を左右するといっても過言ではないのです。

  1. 学術研究,専門・技術サービス業の特色
    1. 知識集約型産業
    2. 多様な分野への応用可能性
      1. 製造業
      2. 建設業
      3. エネルギー産業
      4. 情報通信分野
    3. 社会課題解決
    4. 高度人材による競争優位創出
  2. 産業分類における学術研究,専門・技術サービス業
    1. 産業分類における位置付け
    2. 国内における経済的意義
    3. 中分類~細分類
      1. 中分類 71  学術・開発研究機関
      2. 中分類 72  専門サービス業(他に分類されないもの)
      3. 中分類 73  広告業
      4. 中分類 74  技術サービス業(他に分類されないもの)
  3. 学術研究,専門・技術サービス業を代表する企業
    1. 学術・開発研究機関
      1. 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(AIST)
      2. 国立研究開発法人 理化学研究所(理研)
    2. 専門サービス業(他に分類されないもの)
      1. 弁護士法人 西村あさひ法律事務所
      2. デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
      3. アクシス国際弁理士法人
      4. PwC Japan有限責任監査法人
    3. 広告業
      1. 株式会社電通グループ
      2. 株式会社博報堂DYホールディングス
      3. 株式会社ADKホールディングス
      4. 株式会社オプト
      5. 株式会社セプテーニ・ホールディングス
    4. 技術サービス業(他に分類されないもの)
      1. 応用地質株式会社
      2. 株式会社日本設計
  4. 学術研究,専門・技術サービス業の規模
    1. 総市場規模
    2. 学術研究,専門・技術サービス業の重要性
      1. 知識と技術の蓄積
      2. 成長市場
      3. 社会課題への貢献
    3. 雇用規模
  5. まとめ

学術研究,専門・技術サービス業の特色

学術研究,専門・技術サービス業の特色は多岐にわたりますが、代表的な要素を詳しく解説します。

知識集約型産業

学術研究,専門・技術サービス業の最大の特色は「知識集約型産業」である点でしょう。

目に見える製品ではなく、可視化が難しい高度な知識が最大の経営資源で、それが競争優位をつくるのです。

新薬開発では基礎研究から臨床試験まで、高い専門性が必要で、外部の協力が不可欠となるため、専門的な研究者の知識や経験が成果を左右します。

また、人工知能(AI)やビッグデータ分析などのコンピューターサイエンス分野では、大学の研究室に所属する工学専門家のノウハウが技術進化を加速させる鍵になることも珍しくありません。

多様な分野への応用可能性

学術研究,専門・技術サービス業の提供する知識や技術は、他の産業分野との連携で広く活用されます。

さまざまな分野でイノベーションの基盤を提供しており、他産業の発展を縁の下の力持ちとして下支えしています。

製造業

自然科学研究を応用した製品開発支援、プロセスの効率化、新材料の研究開発など。

建設業

建築設計、測量、地質調査による安全性の確保など。

エネルギー産業

自然科学研究を応用した再生可能エネルギー技術の開発や効率化など。

情報通信分野

工学研究を応用したAIやIoTを活用したシステム開発、データ解析など。

社会課題解決

学術研究,専門・技術サービス業は、企業業績への貢献だけではなく、地球温暖化、エネルギー問題、高齢化社会、医療課題など、現代社会が抱える複雑な問題への解決策も提案します。

環境コンサルティング会社は、持続可能な社会づくりのためのCO2削減計画を立案し、地質調査会社は、災害リスク低減に資する地震や地滑りの予測調査などを行います。

弁護士事務所や公認会計士事務所は法的な裏付けを提供し、国際協調をサポートします。

このような表からは見えづらく、短期的に答えがでない活動でも、長期的な視点で社会的価値を生み出しています。

高度人材による競争優位創出

学術研究,専門・技術サービス業は、高度な教育を収めた人材によって支えられています。

研究者や技術者は、大学や研究機関で培った専門知識を活かし、企業や公的機関でその知見を提供しています。

日本においては大学と企業の連携を進める動きが顕著で、企業の研究開発部門における博士号取得者の雇用が増加しています。

こうした高度人材は、新技術やサービスを開発し、産業全体の競争力向上に寄与しています。

産業分類における学術研究,専門・技術サービス業

産業分類における位置付け

日本標準産業分類「大分類L」の学術研究,専門・技術サービス業は、高度な知識と技術の提供を主な役割とし、学術研究機関(大学や公的研究機関)、技術サービス業(建築設計や地質調査など)、コンサルティング業(特許関連や環境コンサルタントなど)、法律事務所、公認会計士事務所、広告業などが含まれます。

国内における経済的意義

学術研究,専門・技術サービス業は日本のGDPの6%前後を占めており、特に主要産業である製造業や建設業との連携が深いことから、他業界への波及効果も大きいとされています。

中分類~細分類

中分類 71  学術・開発研究機関

  • 710  管理,補助的経済活動を行う事業所(71学術・開発研究機関)
    • 7101  管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 711  自然科学研究所
    • 7111  理学研究所
    • 7112  工学研究所
    • 7113  農学研究所
    • 7114  医学・薬学研究所
  • 712  人文・社会科学研究所
    • 7121  人文・社会科学研究所

中分類 72  専門サービス業(他に分類されないもの)

  • 720  管理,補助的経済活動を行う事業所(72専門サービス業)
    • 7201  管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 721  法律事務所,特許事務所
    • 7211  法律事務所
    • 7212  特許事務所
  • 722  公証人役場,司法書士事務所,土地家屋調査士事務所
    • 7221  公証人役場,司法書士事務所
    • 7222  土地家屋調査士事務所
  • 723  行政書士事務所
    • 7231  行政書士事務所
  • 724  公認会計士事務所,税理士事務所
    • 7241  公認会計士事務所
    • 7242  税理士事務所
  • 725  社会保険労務士事務所
    • 7251  社会保険労務士事務所
  • 726  デザイン業
    • 7261  デザイン業
  • 727  著述・芸術家業
    • 7271  著述家業
    • 7272  芸術家業
  • 728  経営コンサルタント業,純粋持株会社
    • 7281  経営コンサルタント業
    • 7282  純粋持株会社
  • 729  その他の専門サービス業
    • 7291  興信所
    • 7292  翻訳業(著述家業を除く)
    • 7293  通訳業,通訳案内業
    • 7294  不動産鑑定業
    • 7299  他に分類されない専門サービス業

中分類 73  広告業

  • 730  管理,補助的経済活動を行う事業所(73広告業)
    • 7300  主として管理事務を行う本社等
    • 7309  その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 731  広告業
    • 7311  広告業

中分類 74  技術サービス業(他に分類されないもの)

  • 740  管理,補助的経済活動を行う事業所(74技術サービス業)
    • 7401  管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 741  獣医業
    • 7411  獣医業
  • 742  土木建築サービス業
    • 7421  建築設計業
    • 7422  測量業
    • 7429  その他の土木建築サービス業
  • 743  機械設計業
    • 7431  機械設計業
  • 744  商品・非破壊検査業
    • 7441  商品検査業
    • 7442  非破壊検査業
  • 745  計量証明業
    • 7451  一般計量証明業
    • 7452  環境計量証明業
    • 7459  その他の計量証明業
  • 746  写真業
    • 7461  写真業(商業写真業を除く)
    • 7462  商業写真業
  • 749  その他の技術サービス業
    • 7499  その他の技術サービス業

学術研究,専門・技術サービス業を代表する企業

学術・開発研究機関

国立研究開発法人 産業技術総合研究所(AIST)

日本最大級の公的研究機関であり、産業技術に関する研究開発を幅広く行っています。エネルギー、人工知能(AI)、ナノテクノロジーなどの分野で重要な役割を果たしています。

国立研究開発法人産業技術総合研究所

産業技術に関わる研究

国立研究開発法人 理化学研究所(理研)

日本を代表する学術研究機関。生命科学、物理学、化学、エンジニアリング分野での基礎研究を行い、最先端の研究成果を生み出しています。

国立研究開発法人理化学研究所

研究事業

専門サービス業(他に分類されないもの)

弁護士法人 西村あさひ法律事務所

日本最大級の法律事務所であり、国内外の企業や個人向けに幅広い法務サービスを提供しています。

弁護士法人西村あさひ法律事務所

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

経営戦略、リスク管理、IT導入支援などを提供する総合コンサルティング会社。

デロイトトーマツコンサルティング合同会社

国際的会計事務所デロイト トウシュ トーマツのメンバーで、デロイトがグループで有する監査・税務・コンサルティング・ファイナンシャルアドバイザリーの総合力と国際力を活かし、日本国内のみならず海外においても、戦略とその導入・実現に至るまで一貫したサービスを提供するコンサルティングファーム。

アクシス国際弁理士法人

特許や商標、著作権などの知的財産分野における専門サービスを提供。

アクシス国際弁理士法人

PwC Japan有限責任監査法人

会計監査およびリスク管理サービスを提供し、企業のガバナンス向上に寄与しています。

PwC Japan有限責任監査法人

監査証明業務、財務アドバイザリー業務等

広告業

株式会社電通グループ

電通は、日本最大手、かつ世界有数の広告代理店であり、国内広告業界のリーダー的存在です。また、グローバル展開も進めており、アメリカやヨーロッパ、アジア市場で事業を展開しています。

株式会社電通グループ

グループ全体の成長持続および競争力強化に向けた各種環境 の整備と支援、ならびにグループガバナンスの推進

株式会社博報堂DYホールディングス

博報堂DYホールディングスは、日本で2番目に大きい広告会社であり、「博報堂」「大広」「読売広告社」の3社を中心としたグループです。独自のマーケティング戦略が特徴です。

株式会社博報堂DYホールディングス

株式会社ADKホールディングス

ADK(旧:旭通信社)は日本で第3位規模の広告会社です。多岐にわたる広告ソリューションを提供しており、特にアニメ関連の広告展開に強みを持っています。

株式会社ADKホールディングス

広告業

株式会社オプト

オプトは、デジタル広告に特化した広告代理店であり、特に中小企業や新興企業を対象としたデジタルマーケティング支援を行っています。

株式会社オプト

マーケティング事業

株式会社セプテーニ・ホールディングス

セプテーニは、インターネット広告を中心に展開する広告代理店です。特にSNS広告やアプリマーケティング分野での強みを持っています。

株式会社セプテーニ・ホールディングス

技術サービス業(他に分類されないもの)

応用地質株式会社

地質調査や地盤解析を専門とする企業。地震や土砂災害などの自然災害対策にも貢献しています。

応用地質株式会社

地質調査、建設コンサルタント

株式会社日本設計

建築設計を専門とする企業で、国内外で多くの有名な建築プロジェクトを手がけています。

株式会社日本設計

1.建築、造園、土木およびこれらに関連する設備、構造、インテリア等についての企画、設計、工事監理ならびに調査鑑定 2.都市・地域計画・都市再開発事業計画、環境アセスメント調査 3.コンピュータによる情報処理および調査・計画 4.上記に関連もしくは付随する一切の業務

学術研究,専門・技術サービス業の規模

総市場規模

市場規模(年間総売上高)は約24兆円と推定されています。

学術・開発研究機関が約2兆円、専門サービス業が約4兆円、広告業が最も大きく約18兆円です。

学術研究,専門・技術サービス業の重要性

知識と技術の蓄積

高度な専門知識を活用した新技術開発や新サービスの開発で、国内産業の競争力向上に寄与しています。

成長市場

広告業のデジタル化が進展しており、インターネット広告を中心とした市場成長が続いています。今後はメタバースなど、新たな領域も広告媒体化され、より高度な広告技術が開発されるでしょう。

社会課題への貢献

技術サービス業や学術・開発研究機関は、環境問題や災害対策、法的課題の解決、信頼される会計処理など、社会的課題解決や企業経営の安定に直接貢献しています。

雇用規模

日本全体の就業者の約2%がこの分野で働いており、特に大都市圏に集中しています。

また、高度な教育を受けた専門人材の割合が非常に高いのも特徴です。

まとめ

学術研究,専門・技術サービス業は、高度な知見を商売道具とする知識集約型産業です。

各種研究から得た技術や知識の提供を通じて、経済成長や社会課題の解決に貢献しています。

その範囲は、大学や公的研究機関での基礎研究、企業の研究開発、広告やマーケティング活動、建築設計や地質調査などの技術サービス、法律や会計や特許などの専門コンサルティング、通訳、翻訳、獣医まで、非常に広範です。

特に広告業は巨大マーケットである上に、デジタル化の進展でインターネット広告市場が活況なため、広告業全体の成長余力に期待がかかっています。

学術研究,専門・技術サービス業は、その信頼性から社会に対し重責を担っているといえ、影響力はAIが普及してもさらに拡大していくと考えられます。

特に、素材開発や再生可能エネルギー分野での研究開発は、日本企業の競争力を高めるだけでなく、国際社会での日本の存在感をさらに強固に押し出す力になるでしょう。

今後は、政府、民間、研究機関による一層の連携強化で、学術研究,専門・技術サービス業が持つポテンシャルを最大限に引き出していくものと期待されます。