印刷・同関連業の概要と代表的な企業の詳細解説

印刷・同関連業とは、書籍、新聞、パッケージ、広告、ポスターなどの印刷物を製造する産業です。

デザイン・製版・印刷・製本などのプロセスを通じて、文字や画像を多様な素材に転写する技術が用いられます。

また、印刷から派生したサービスとして、デジタル技術を駆使した電子出版やマルチメディア制作も手掛ける会社が増えてきました。

近年では、環境配慮型の印刷やオンデマンド印刷、3Dプリントなど、技術革新が業界全体に影響を与えています。

さらに、印刷会社を束ね、空いている印刷機械を効率よく使い、安い印刷物を提供する、変則型のオンデマンドサービスも注目されています。

これらの技術やサービスの進化で、印刷物の高精度化、短納期化、低コスト化が進んでいます。

印刷・同関連業の特色

印刷・同関連業は、主に製品のカスタマイズ性、地域性、技術革新などに特徴的があります。

製品の多様性とカスタマイズ

「水以外に印刷できないものはない」というくらい、顧客ニーズに応じたカスタマイズ製品の提供能力に特徴があります。

特に、商業印刷やパッケージ印刷では、デザイン性や機能性が差別化ポイントとして重視されます。

食品パッケージでは防湿性や遮光性が求められ、広告用印刷では視覚的なインパクトが求められますが、このような多様なニーズに応えられる技術力が業界を支えています。

多様な技術の融合

単なる製造業としてでなく、デザインや企画、後加工など、サービス業としての要素も兼ね備えています。

日本では、高品質な仕上がりを求める顧客が多いため、細部にわたる高精度な作業で応じなければいけません。

品質へのこだわりが、印刷業全体の競争力を高める要因になっています。

地域性

比較的小規模な会社も多いため、地元の商業や文化と密接に結びついている場合が散見され、地域の需要にきめ細かく対応しています。

一方で、全国規模や世界規模で展開する大手企業もあり、地域市場と大規模市場の両方に対応する産業構造となっています。

技術革新とデジタル化の影響

デジタル印刷やデータベースを利用した可変データ印刷(VDP)の普及で、短納期で少量多品種の製品が可能になりました。

さらに、3Dプリンティングのような新しい技術も業界の幅を広げています。

伝統的な印刷だけでなく、イノベーションを通じて、注目を集められる革新的なサービスを提供できるようになっています。

環境への配慮

環境問題への意識が高まる中、印刷業界でも持続可能な取り組みが推進されています。

再生紙や植物性インクの使用、VOC(揮発性有機化合物)の削減、さらにはカーボンニュートラルを目指す活動などが活発です。

日本では、グリーン印刷認証制度が導入され、環境負荷低減への取り組みが業界全体で推進されています。

産業分類における印刷・同関連業

印刷・同関連業は、日本標準産業分類において「中分類15」に該当します。

一般的な印刷業だけでなく、製版業、製本業、印刷関連サービス業が含まれています。

小分類=細分類

  • 150  管理,補助的経済活動を行う事業所(15印刷・同関連業)
    • 1500  主として管理事務を行う本社等
    • 1509  その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 151  印刷業
    • 1511  オフセット印刷業(紙に対するもの)
    • 1512  オフセット印刷以外の印刷業(紙に対するもの)
    • 1513  紙以外の印刷業
  • 152  製版業
    • 1521  製版業
  • 153  製本業,印刷物加工業
    • 1531  製本業
    • 1532  印刷物加工業
  • 159  印刷関連サービス業
    • 1591  印刷関連サービス業

印刷・同関連業を代表する企業

日本には、世界市場でも存在感を示す、印刷業界を代表する企業が存在します。

大日本印刷株式会社(DNP)


テレビCMなどでもお馴染みの国内最大規模の印刷会社で、商業印刷、出版印刷、包装印刷など幅広い事業を展開しています。

また、デジタルメディアやセキュリティ関連事業にも注力しており、従来の印刷会社のイメージを遥かに超える進化を遂げています。

大日本印刷株式会社

印刷技術と情報技術を強みとして、出版印刷や商業印刷から、包装や建材、エレクトロニクス製品などへ事業領域を拡げ、多様な製品・サービスを提供する総合印刷会社

TOPPAN株式会社

DNPと並ぶ業界のリーダーであり、特に包装や電子デバイス向けの印刷で強みを持っています。

同時に、電子ペーパーやRFIDタグなどの先端技術分野でも存在感を示しています。

TOPPAN株式会社

共同印刷株式会社

書籍やカタログの印刷を中心に、多様な印刷物を手掛ける大手企業です。

電子書籍やデジタルコンテンツの提供も行っており、印刷とデジタルの融合に積極的です。

共同印刷株式会社

●出版印刷部門<雑誌、書籍、コミックス、教科書、辞典、単行本、緩衝材付冊子、美術本、絵本、年史、電子出版、その他> ●商業印刷部門<カタログ、チラシ、ポスター、パンフレット、カレンダー、POP、ノベルティ、ビジネスフォーム,データプリントサービス、通帳、抽選券、商品券、ICカード、クレジットカード、定期券、その他各種カード、高級美術複製品、各種電子機器製品、PDP用光学フィルター、その他>  ●生活資材部門<軟包装、紙容器、金属印刷関連製品、各種チューブ、プラスチック関連製品、各種化粧紙、内包材、化粧板、その他>

印刷・同関連業の規模

印刷・同関連業の売上規模は約6兆円前後とされており、国内GDPにおいて一定の割合を占めています。

企業規模別には、地場に根付いた中小企業が圧倒的に多く、全体の9割以上を占めています。

ただし、家庭用プリントの普及、デジタルメディアの進展による紙媒体需要の減少で、全体的な市場はやや縮小傾向にあり、今後はますます苦しくなる懸念があります。

しかし、高い技術力を要する分野では依然として旺盛な需要があり、特に以下の市場におけるニーズが注目されています。

パッケージ印刷市場

食品や医薬品の包装印刷は、消費者のライフスタイル変化に伴い成長しています。

とりわけ、環境対応型パッケージの需要増加が顕著です。

デジタル印刷市場

少量多品種や個別化された印刷物を迅速に提供できるオンデマンド印刷の需要が高まっています。

デジタル印刷は、短納期の案件にも対応できる点で顧客からの評価が高いです。

グローバル市場

アジアを中心に印刷物の需要が拡大しており、日本企業高い技術力を武器に海外市場への進出を強化しています。

まとめ

印刷・同関連業は、縮小傾向の市場に加え、デジタル技術の台頭や環境問題への対応という課題を抱えながらも、多様なニーズに対応できる柔軟な産業として国内経済を支えています。

絶え間ない技術開発により、商業印刷やパッケージ印刷のほか、デジタル印刷や新技術分野でもマーケットを拡大し、新たな顧客開拓を続けています。

代表的な企業である大日本印刷や凸版印刷は、圧倒的な技術力で業界を牽引する存在であり、国内外の市場で高い評価を得ています。

特にアナログとデジタルの融合に強みがあり、印刷の新たな可能性を創り続けているので、今後も世界市場で勝負していけると考えられています。

新聞や書籍のマーケットは霧消すると予想されますが、印刷・同関連業は消費者ニーズの変化に対応しつつ、エコな製造環境へと変容し、サスティナブルに発展していくものと期待されています。