
金属製品製造業は、鉄、アルミ、銅などの金属材料を加工して製品を製造する分野として、日本標準産業分類では「中分類 24:金属製品製造業」に定義され、他の鉄鋼業や非鉄金属製造業とは区別されています。
具体的には、金属製の屋根やシャッターなどの建築金物、バネなどを中心とした産業機械部品や自動車部品、配管資材、工具、釘、ネジ、缶、さらには、食器やハサミなどの普段手にする日用品まで幅広い製品が、ここに含まれます。
多くのプレーヤーが特定のニーズに応じた製品を手掛けているものの、それがBtoB取引中心であるため、一般には馴染が薄いかもしれませんが、幅広い産業への部品供給源として、製造業全体を支えています。
金属製品製造業の特色

業界の多様性
金属製品製造業は裾野が広く、参入している企業の規模や取り扱い製品に大きな違いがある業界です。
大手メーカーは、高度な先端技術を駆使し、特殊合金や精密加工技術を武器にグローバルマーケットを狙います。
一方の中小企業は特定の部品や工程に特化し、大手企業との連携で事業規模を維持します。
技術革新
テクノロジー依存度が高いため、技術革新の影響を受けやすいのも金属製品製造業の特徴です。
金属加工にはプレス加工、切削加工、鋳造、溶接、めっきなど多様な工程があり、それぞれの分野で技術革新が進んでおり、その遅れは致命傷になりかねません。
近年では、デジタル技術を取り入れたスマートファクトリー化が進み、AIやIoTによる生産や品質管理の実現も視野に入っています。
また、脱炭素社会の実現を目指し、省エネ設備の導入やリサイクル技術の向上も取り入れられてきました。
原料依存
原材料の価格変動が業績に大きな影響を与える業界で、その不安定さは排除できないでしょう。
鉄鋼やアルミニウムの国際価格変動は、製品コストに直接影響し、利益が急迫されることも少なくないため、調達戦略の柔軟性やコスト削減の工夫の積み重ねが重要となっています。
産業分類における金属製品製造業

日本標準産業分類において、金属製品製造業は「中分類 24」に該当し、さらに細かく分類されています。
小分類と細分類
- 240 管理,補助的経済活動を行う事業所(24金属製品製造業)
- 2400 主として管理事務を行う本社等
- 2409 その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
- 241 ブリキ缶・その他のめっき板等製品製造業
- 2411 ブリキ缶・その他のめっき板等製品製造業
- 242 洋食器・刃物・手道具・金物類製造業
- 2421 洋食器製造業
- 2422 機械刃物製造業
- 2423 利器工匠具・手道具製造業(やすり,のこぎり,食卓用刃物を除く)
- 2424 作業工具製造業
- 2425 手引のこぎり・のこ刃製造業
- 2426 農業用器具製造業(農業用機械を除く)
- 2429 その他の金物類製造業
- 243 暖房・調理等装置,配管工事用附属品製造業
- 2431 配管工事用附属品製造業(バルブ,コックを除く)
- 2432 ガス機器・石油機器製造業
- 2433 温風・温水暖房装置製造業
- 2439 その他の暖房・調理装置製造業(電気機械器具,ガス機器,石油機器を除く)
- 244 建設用・建築用金属製品製造業(製缶板金業を含む)
- 2441 鉄骨製造業
- 2442 建設用金属製品製造業(鉄骨を除く)
- 2443 金属製サッシ・ドア製造業
- 2444 鉄骨系プレハブ住宅製造業
- 2445 建築用金属製品製造業(サッシ,ドア,建築用金物を除く)
- 2446 製缶板金業
- 245 金属素形材製品製造業
- 2451 アルミニウム・同合金プレス製品製造業
- 2452 金属プレス製品製造業(アルミニウム・同合金を除く)
- 2453 粉末や金製品製造業
- 246 金属被覆・彫刻業,熱処理業(ほうろう鉄器を除く)
- 2461 金属製品塗装業
- 2462 溶融めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)
- 2463 金属彫刻業
- 2464 電気めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)
- 2465 金属熱処理業
- 2469 その他の金属表面処理業
- 247 金属線製品製造業(ねじ類を除く)
- 2471 くぎ製造業
- 2479 その他の金属線製品製造業
- 248 ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
- 2481 ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
- 249 その他の金属製品製造業
- 2491 金庫製造業
- 2492 金属製スプリング製造業
- 2499 他に分類されない金属製品製造業
金属製品製造業の規模

金属製品製造業のマーケットは比較的大きく、出荷額も10兆円規模とされ、国内事業所数は約5万件超、従業員数は80万人以上にのぼるため、製造業の中でも大きなウエイトを占めています。
しかし、多くは中小企業であり、確かな技術があっても、大手企業の下請けにすぎないという弱い立場でもあります。
自動車や建設業界向けの部品供給は、売上は大きくなる傾向にあるものの、業界全体の景気に大きく左右されるため、市場動向を見誤れば、一気に経営状態が悪化するリスクを伴います。
特に自動車はEV化の進展に伴い、業界地図が大きく書き換わっていくと予想されるため、注視する必要があるでしょう。
一方で、金属加工の街として有名な新潟の燕や三条に集積するニッチな分野で独自の技術を持つ企業は、安定した需要を確保できる傾向があります。
とはいえ、近年ではグローバル化の波が押し寄せ、海外市場を視野に入れた事業展開が求められているため、特にアジアへの進出を強化する動きが顕著になり、現地生産や現地調達の比率を高める動きも見られます。
この流れを鑑みれば、独自のマーケットを押さえている企業でさえも安閑とはしていられないでしょう。
金属製品製造業を代表する企業

以下が金属製品製造業を代表する企業ですが、それぞれ異なる分野で強みを持ち、国内外での競争力を高めており、特に品質管理や技術開発において高い評価を受け、日本の製造業全体の競争力を支える存在になっています。
YKK株式会社
ファスナーや建材製品で世界的シェアを持っています。海外メーカーが太刀打ちできないレベルの高品質ファスナーの製造で世界に名を馳せています。

YKK株式会社
ファスニング・ファスニング加工機械及び建材加工機械等の製造・販売
株式会社LIXIL
住宅設備や金属製品を手掛ける大手です。住宅内の便利な機能はLIXILが生み出しているといっても過言ではありません。

株式会社LIXIL
建材・設備機器の製造・販売およびその関連サービス業
東洋製罐グループホールディングス株式会社

東洋製罐グループホールディングス株式会社
包装容器事業、鋼鈑関連事業、機能材料関連事業、不動産関連事業、その他事業を含むグループ会社の経営管理等
日本発条株式会社

日本発條株式会社
懸架ばね、シート、精密ばね、HDD用サスペンション、産業機器(ろう付製品、セラミック製品、配管支持装置、ポリウレタン製品、プリント配線板、駐車装置、セキュリティ製品)の製造販売
まとめ
金属製品製造業は、建築、自動車、電子機器、インフラなど、あらゆる分野に金属製品を供給し、日本の製造業を陰で支える重要な産業です。
一方で、技術革新への対応、コスト管理、グローバル展開など、直面する課題も多く、とりわけ新興国との競争は年々激しくなっています。
また、地方の中小企業では職人の後継者不足が深刻化しており、このままでは技術継承を断念せざるを得ない苦しい状況になっています。
匠の技が途絶えないことを祈るばかりです。
世界的な脱炭素化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れを受け、従来の製造方法を見直す動きは活発で、環境負荷低減やより効率的な生産システムの構築が求められる中で、各社は新たな事業戦略を模索している状況でもあります。
素材の進化や市場変化に適応しながら、今後も発展を続けると予想されますが、業界動向を注視しつつ、どの企業が次の成長の波を捉えるのか、その動きに注目したいところです。
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
一般社団法人 日本ダイカスト協会
一般社団法人 日本アルミニウム協会
一般社団法人 日本アルミニウム合金協会
一般社団法人 日本伸銅協会
一般社団法人 日本銅センター
一般社団法人 電線工業会
一般社団法人 日本チタン協会
一般社団法人 新金属協会
一般社団法人 軽金属製品協会
一般社団法人 日本鉄鋼協会
ステンレス協会
一般社団法人 軽金属溶接協会
一般社団法人 日本溶接協会
一般社団法人 日本鋳造協会
一般財団法人 金属系材料研究開発センター(JRCM)
一般社団法人 軽金属学会
公益社団法人 日本金属学会
公益社団法人 日本鋳造工学会
一般社団法人 塑性加工学会
一般社団法人 溶接学会
一般社団法人 日本機械学会
公益社団法人 日本自動車技術会
公益財団法人 軽金属奨学会
一般財団法人 日本ウエザリングテストセンター
一般財団法人 日本規格協会
一般社団法人 マグネシウム循環社会推進協議会
一般社団法人 日本マグネシウム学会
金属系材料研究開発センター
資源・素材学会
全日本鍛造協会
日本機械学会
日本建築学会