日本のライフラインを支える「電気・ガス・熱供給・水道業」

電気・ガス・熱供給・水道業は、日常生活に不可欠で、経済の基盤も支えるライフライン産業です。

日々の生活に欠かせないエネルギーや水資源を安定的に供給し、経済活動を円滑にします。

日本標準産業分類では、大分類Fに位置づけられ、電力、ガス、熱供給、水道の4セクターで構成されています。

震災や自然災害を背景に、安全性の向上、再生可能エネルギーの導入、老朽化設備の更新といった課題が浮き彫りになっている上に、電力・ガスの自由化、エネルギー需要増加など、業界を取り巻く環境は大きく変化しています。

電気・ガス・熱供給・水道業は単なるエネルギー供給サービスに留まらず、政策(税金)や環境問題にも密接に関連する社会的重要性を持った産業なのです。

電気・ガス・熱供給・水道業の特色

電力業

電力業は日本のエネルギー供給の中核を成しています。

電力自由化の進展で、新規参入企業が増え、消費者は料金プランや発電方法を自由に選択できるようになりました。

一方で、再生可能エネルギーの導入も進み、発電割合は約20%に達し、政府は2030年までにこの割合を36~38%に引き上げる目標を掲げています。

特に、太陽光発電や風力発電の導入が推奨され、地方自治体による積極的な取り組みも進行中ですが、政策には賛否両論があり、反対運動も盛んになっています。

ガス業

ガス業では、都市ガスとLPガスのふたつの供給形態があります。

都市ガスは都市部での供給が主流であり、その約95%が天然ガスを原料としています。

一方、LPガスは地方部や災害時のバックアップエネルギーとして重要な役割を担っています。

ガス業界でも企業間競争が激化しており、料金の引き下げや新サービスの提供が進められています。

熱供給業

熱供給業は、都市部の地域冷暖房や産業用熱供給を主たる業務としています。

エネルギー効率が高く、二酸化炭素排出量を削減できる利点があります。

建築物のゼロエネルギー化(ZEB)の推進に伴い、熱供給システムが新築ビルや再開発プロジェクトで採用される事例が増えています。

水道業

水道業の主眼は、安全で高品質な水供給ですが、施設の老朽化が深刻な問題となっており、その根底が崩れかねない状況です。

全国の水道管の約15%が耐用年数を超えており、自治体が負担する更新費用が莫大になる上に、人口減に伴う需要縮小が収益性に影響を与えています。

一部では民間企業との連携による運営効率化が試みられています。

産業分類における電気・ガス・熱供給・水道業

日本標準産業分類では、電気・ガス・熱供給・水道業は大分類Fとして位置づけられています。

中分類 33  電気業

  • 330  管理,補助的経済活動を行う事業所(33電気業)
    • 3300  主として管理事務を行う本社等
    • 3309  その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 331  電気業
    • 3311  発電所
    • 3312  変電所

中分類 34  ガス業

  • 340  管理,補助的経済活動を行う事業所(34ガス業)
    • 3400  主として管理事務を行う本社等
    • 3409  その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 341  ガス業
    • 3411  ガス製造工場
    • 3412  ガス供給所

中分類 35  熱供給業

  • 350  管理,補助的経済活動を行う事業所(35熱供給業)
    • 3500  主として管理事務を行う本社等
    • 3509  その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 351  熱供給業
    • 3511  熱供給業

中分類 36  水道業

  • 360  管理,補助的経済活動を行う事業所(36水道業)
    • 3600  主として管理事務を行う本社等
    • 3609  その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 361  上水道業
    • 3611  上水道業
  • 362  工業用水道業
    • 3621  工業用水道業
  • 363  下水道業
    • 3631  下水道処理施設維持管理業
    • 3632  下水道管路施設維持管理業

電気・ガス・熱供給・水道業を代表する企業

東京電力ホールディングス株式会社

日本最大の電力供給会社として関東地方を中心に事業を展開しています。

特に福島第一原子力発電所事故以降、再生可能エネルギーの推進や電力の安定供給体制の再構築に注力、太陽光発電や風力発電への投資を拡大し、福島復興エリアにおいて再生可能エネルギーを活用した新たな電力供給モデルを構築中です。

デジタル技術を活用した「スマートメーター」の導入加速で、電力消費の「見える化」が可能となり、効率的なエネルギー利用を実現しています。

東京電力ホールディングス株式会社

電気事業

関西電力株式会社

関西地方を中心に電力供給を行うと同時に、ガス事業にも参入している総合エネルギー企業です。

「カーボンニュートラル社会の実現」に向けた取り組みを強化しており、再生可能エネルギー発電所の建設や、水素エネルギーの研究開発にも積極的で、大阪湾岸エリアで進められている「次世代エネルギーシステム」の構築は注目です。

地域全体でエネルギーを効率よく利用し、脱炭素社会への移行を目指すモデルケースとして評価されています。

関西電力株式会社

電気事業、熱供給事業、電気通信事業、ガス供給事業 等

北海道電力株式会社

北海道電力株式会社

電気事業、ガス供給事業、電気通信事業、各種コンサルティング・エンジニアリングなど

東北電力株式会社

東北電力株式会社

電気事業

中部電力株式会社

中部電力株式会社

電気事業およびその附帯事業 ガス事業 分散型エネルギー事業 海外コンサルティング・投資事業 不動産管理事業 IT事業など

北陸電力株式会社

北陸電力株式会社

電気事業

中国電力株式会社

中国電力株式会社

電気事業

四国電力株式会社

四国電力株式会社

電気事業

九州電力株式会社

九州電力株式会社

電気事業

沖縄電力株式会社

沖縄電力株式会社

電気事業

東京ガス株式会社

都市ガス業界のリーディングカンパニーである東京ガスは、天然ガスを基盤とした事業展開を行っています。

LNG(液化天然ガス)調達において安定供給を重視しつつ、カーボンニュートラルLNGの取り扱いも開始し、エネルギー消費を最適化するための「エネルギーマネジメントサービス」の提供も拡大しています。

水素エネルギーの活用にも注力しており、水素ステーション整備プロジェクトを開始、水素燃料電池車の普及やカーボンニュートラル社会の実現を後押ししています。

東京瓦斯株式会社

ガスの製造・供給および販売/ガス機器の製作・販売およびこれに関連する建設工事/冷温水および蒸気の地域供給/電気供給事業

北海道瓦斯株式会社

北海道瓦斯株式会社

ガス事業、熱供給事業、電気供給事業、ガス副産物の精製および販売、ガス機器の製作・販売およびこれに関連する建設工事、その他の関連事業

京葉瓦斯株式会社

京葉瓦斯株式会社

・ガス事業 ・ガス副産物の製造、加工及び販売 ・熱供給事業 ・電気供給事業 ・天然ガスの採取及び売買 ・ガス機器・厨房設備機器・給排水設備機器・空調設備機器及び住宅設備機器の製作、販売、賃貸、設置、修理、保守及び管理 (その他)

大阪瓦斯株式会社

大阪瓦斯株式会社

1.ガスの製造、供給および販売 2・LPGの供給および販売 3・電力の発電、供給および販売 4・ガス機器の販売 5・ガス工事の受注

広島ガス株式会社

広島ガス株式会社

都市ガス製造・供給

四国ガス株式会社

四国ガス株式会社

(1)ガスの製造、供給および販売 (2)ガス器具の販売 (3)ガスに関する工事の請負

公益社団法人日本水道協会

全国の水道事業者を取りまとめる役割を担っています。

地方自治体が運営する水道事業者も多く、各地で老朽化した設備の更新や人口減少に伴う需要低下への対策が進められています。

公益社団法人日本水道協会

電気・ガス・熱供給・水道業の規模と課題

電気業の規模と課題

約15兆円の規模を持ち、10大電力会社が市場の大半を占めていますが、電力自由化以降、新電力事業者のシェアが増加しており、競争が激化しています。

老朽化した原子力発電所の再稼働問題や再生可能エネルギーの不安定性を克服しなければなりません。

ガス業の規模と課題

市場規模は約5兆円であり、都市ガスの需要増加が見込まれていますが、電気業界との競争激化で、新サービスモデルやコスト削減の必要性が高まっています。

LNGの安定調達や脱炭素に向けた水素エネルギーへの転換が鍵になるでしょう。

熱供給業の規模と課題

市場規模は比較的小さいものの、都市部の開発プロジェクトで重要性が増しています。

CO2削減やエネルギー効率向上を実現する地域エネルギーシステムの導入が進められていますが、地方部での需要は少なく、採算性が課題となっています。

水道業の規模と課題

市場規模は約3兆円とされていますが、老朽化したインフラの更新コストが増大し、財政負担が深刻化しています。

人口減少による需要低下も長期的な収益確保を困難にしているため、民間企業との連携や技術革新が必要不可欠です。

まとめ

電気・ガス・熱供給・水道業は、電気やガス、水道の安定供給に資する産業で、日本の社会基盤を支える重要な役割を持ち、公共性とサステナビリティが強く求められる分野です。

スイッチを入れれば、当たり前に点く電気や蛇口をひねれば当然のように出る水ですが、このインフラを構築し、維持しているのが、電気・ガス・熱供給・水道業で、彼らがいなければ、暗闇での生活を強いられてしまうので、どれほど価値のある仕事をしているかが理解できるでしょう。

既存エネルギーの安定供給だけでなく、再生可能エネルギーの普及、老朽化インフラの更新、脱炭素化といった現代的な課題への対応も社会からの希求となっています。

また、高騰するエネルギー価格への対応も求められますが、これは政策に依存する面が大きいため、政治色の強い課題となります。

一方で、電力・ガス自由化に伴う競争環境の変化や新技術の導入が市場の構造を大きく変えているため、これを的確に捉えた施策推進が必要になります。

持続可能な社会の実現のために、電気・ガス・熱供給・水道業が果たす役割は大きといえそうです。

関連リンク集

電気事業連合会
資源エネルギー庁
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
日本電気協会
原子力規制委員会
電力中央研究所
国際協力機構
経済産業省
日本エネルギー経済研究所
電力広域的運営推進機関
一般財団法人 電力中央研究所
一般財団法人 新エネルギー財団
一般財団法人 電源地域振興センター
一般社団法人 日本電気協会
日本エネルギー法研究所
一般社団法人 日本ガス協会
日本LPガス協会
一般財団法人 日本ガス機器検査協会
一般社団法人 全国LPガス協会
高圧ガス保安協会
LPガス安全促進協議会
LPガス安全委員会
一般財団法人 日本エルピーガス機器検査協会
一般社団法人 日本計量機器工業連合会
一般社団法人 日本計量振興協会
ガス警報器工業会
一般社団法人 日本エルピーガス供給機器工業会
日本LPガス団体協議会
一般財団法人 エルピーガス振興センター
一般社団法人 日本コミュニティーガス協会
高圧ガス保安協会
LPガスタンクローリ事故防止委員会(高圧ガス保安協会内)
一般社団法人日本エルピーガス供給機器工業会
一般社団法人日本エルピーガスプラント協会
一般社団法人日本ガス石油機器工業会
LPガス自動車普及促進協議会
LPG内燃機関工業会
一般財団法人日本ガス機器検査協会
日本ガスメーター工業会
一般社団法人日本ゴム工業会
一般社団法人日本溶接容器工業会
一般財団法人全国LPガス保安共済事業団
国立保健医療科学院 生活環境研究部 水管理研究領域
独立行政法人 水資源機構
水循環ホームページ
公益財団法人 水道技術研究センター
公益社団法人 日本水道協会
一般社団法人 日本水道工業団体連合会
公益財団法人 給水工事技術振興財団
一般社団法人 全国給水衛生検査協会
WHO(Water and Sanitation)
日本工業標準調査会
全国管工事業協同組合連合会