飲料・たばこ・飼料製造業の特色や代表する企業

飲料・たばこ・飼料製造業は、日常生活に欠かせない製品や嗜好品を提供する重要な産業です。

特に飲料は、清涼飲料水や酒類などを小売店で手にしたり、CMで見たりと、馴染み深い商品も多いのではないでしょうか。

飲料製造は、清涼飲料、酒類、茶、コーヒー、ミネラルウォーターなど多岐にわたる製品群を持ち、規模を問わず、多様な企業が活躍しており、地方でも土地の名産を活かした有力企業が存在感を示しています。

また、たばこ製造は、日本たばこ産業(JT)がほぼ市場を独占していますが、喫煙率の低下によって、年々マーケットを縮小させており、電子タバコなどに活路を見出そうとしています。

飲料・たばこ・飼料製造業の特色や代表的な企業について、以下に詳しく解説します。

飲料・たばこ・飼料製造業の概要

飲料・たばこ・飼料製造業は、以下の製品製造を主たる業務としています。

これら製品は、消費者の嗜好や健康志向の変化、法規制、国際競争など、さまざまな要因の影響を受けています。

特に、たばこは世界的にも厳しい規制の中にあり、光明を見出すに至っていません。

飲料

アルコール飲料(ビール、果実酒、清酒、蒸留酒など)や清涼飲料水(ジュース、炭酸飲料など)を中心に、いわゆる「飲み物」を製造します。また、お茶やコーヒーなども含まれます。

たばこ

紙巻たばこ、葉巻など、いわゆる「たばこ」で、近年では電子タバコがシェアを拡大しています。

飼料

家畜用の配合飼料やペットフードが主たる商品です。

飲料・たばこ・飼料製造業の産業分類上の位置付け

日本標準産業分類では、飲料・たばこ・飼料製造業は「製造業」の中に位置付けられ、中分類10に分類されています。

飲料・たばこ・飼料製造業はさらに、清涼飲料製造業、酒類製造業、茶・コーヒー製造業、製氷業、たばこ製造業、飼料・有機質肥料製造業に細分化され、加えて各製品の特性に応じた細分類が設定されています。

具体的に、酒類製造業には、果実酒製造、発泡性酒類製造、清酒製造、醸造酒類製造、蒸留酒類製造、混成酒類製造が含まれ、たばこ製造業は、たばこ製造と葉たばこ処理から成立しています。

飼料製造業は、一般の人には馴染が薄い家畜用飼料とペットフードの製造を含み、農業や畜産業には死活問題のなくてはならない商品を提供しています。

小分類~細分類

  • 100  管理,補助的経済活動を行う事業所(10飲料・たばこ・飼料製造業)
    • 1000  主として管理事務を行う本社等
    • 1009  その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
  • 101  清涼飲料製造業
    • 1011  清涼飲料製造業
  • 102  酒類製造業
    • 1021  果実酒製造業
    • 1022  ビール類製造業
    • 1023  清酒製造業
    • 1024  蒸留酒・混成酒製造業
  • 103  茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
    • 1031  製茶業
    • 1032  コーヒー製造業
  • 104  製氷業
    • 1041  製氷業
  • 105  たばこ製造業
    • 1051  たばこ製造業(葉たばこ処理業を除く)
    • 1052  葉たばこ処理業
  • 106  飼料・有機質肥料製造業
    • 1061  配合飼料製造業
    • 1062  単体飼料製造業
    • 1063  有機質肥料製造業

飲料・たばこ・飼料製造業の規模

飲料・たばこ・飼料製造業の市場規模

飲料・たばこ・飼料製造業は、特に飲料製造の売上が巨大なため、製造業の中でも比較的大きな割合を占めています。

また、飲料は日々の生活に欠かせない商品として市場が巨大で、嗜好の変遷が早く、依然としてニッチなブルーオーシャンが残されているため、参入企業も多く、すぐに競争が激化する市場です。

飲料製造業の規模

飲料製造業の市場規模は約5兆円以上と推計され、日本の食品業界においても重要な位置を占めています。

清涼飲料水、アルコール飲料、お茶、コーヒー、ミネラルウォーターなど幅広いカテゴリがどれも堅調な売上で、マーケット全体が成長しています。

主要セグメントの清涼飲料水(約2兆円)やアルコール飲料(約3兆円)が大きな割合を占めており、特にビール市場はその中核を成しているため、季節毎の限定品を頻発するなど、メーカーも躍起となっています。

成長分野として、健康志向飲料や機能性飲料、栄養ドリンクの需要が急増しています。

特に無糖茶や栄養補助飲料の売上が底堅く推移しています。

たばこ製造業の規模

たばこ製造業の市場規模は、約2兆円(紙巻たばこと加熱式たばこの合計)と推定されますが、健康志向や嫌煙ムードの高まり、さらに受動喫煙防止条例などの喫煙規制の広がりなどもあり、国内市場は年々縮小しています。

規制や税制(たばこ税)の影響を強く受けるものの、従来のたばこに代わって登場した加熱式たばこが、現状で市場の約30%を占めるまでに拡大しています。

国内市場が縮小傾向にある一方で、日本たばこ産業(JT)は、海外市場での事業拡大を進めています。

飼料製造業の規模

飼料製造業の市場規模は約1.2兆円規模とされ、畜産業やペット産業と密接に関連し、この業界を下支えしています。

安定的に一定の需要が見込める畜産業向け飼料が多くを占めますが、キャットフードを中心に、ペットフード市場も拡大しています。

ペットフード市場は、ペットブームやプレミアム製品の需要増加に伴い、約4,000億円に達すると推定されています。

日本企業の国際的地位

飲料業界では、日本企業(サントリー、キリン、アサヒなど)がM&Aを含め、海外市場に積極進出し、世界的なブランドとして認知されてきています。

たばこ業界では、日本たばこ産業(JT)が積極的な海外展開でヨーロッパやアジアでシェアを拡大しています。

飼料業界では、安心・安全の日本製高品質ペットフードが海外でも人気を集めています。

今後の市場規模の予測

飲料製造業

健康志向やよりパーソナライズされた需要の増加により、国内市場は安定成長が期待され、海外市場でも事業拡大が見込まれますが、環境面からペットボトルが悪役にされ、代替品を求められた場合、市場を混乱させるかもしれません。

たばこ製造業

最新の喫煙率は、男性が25.6%、女性が6.9%、男女計15.7%で、国内市場は年々縮小傾向ですが、健康被害が少ないとされる加熱式たばこの普及が収益を下支えしています。海外市場との両輪で成長が期待されています。

飼料製造業

ペットフード市場の拡大と持続可能な家畜飼料の需要増加により、堅調な成長が予想されています。ペットフードは無添加などの食品安全性が担保された高価格帯へのシフトが鍵になりそうで、トレーサビリティへの関心も高まっています。

飲料・たばこ・飼料製造業の代表的な企業

飲料・たばこ・飼料製造業を代表する企業を紹介します。

特に飲料はCMで見る企業も多く、一度は手にした製品も多くあると思われます。

これらの企業は、それぞれの分野で高いシェアと信頼を獲得しており、業界の発展に大きく寄与しています。

飲料製造業の主要企業

アサヒビール株式会社

ビール業界のリーダー企業であり、多様なアルコール飲料を提供しています。

アサヒビール株式会社

ビール類を中心とする酒類の製造・販売

サッポロビール株式会社

長い歴史を持つビールメーカーで、国内外で高い評価を得ています。

サッポロビール株式会社

ビール・発泡酒・その他の酒類の製造・販売、輸入ビール・ ワイン・洋酒の販売、他

キリンビバレッジ株式会社

清涼飲料水市場で強い存在感を持ち、多彩な製品ラインナップを展開しています。

キリンビバレッジ株式会社

清涼飲料の製造および販売

サントリーフーズ株式会社

アルコール飲料からソフトドリンクまで幅広い製品を手掛ける総合飲料メーカーです。

サントリーフーズ株式会社

たばこ製造業の主要企業

日本たばこ産業株式会社(JT)

国内最大のたばこメーカーであり、国際的にも事業を展開しています。

日本たばこ産業株式会社

「JTグループならではの多様な価値を提供するグローバル成長企業であり続けること」を目指し、たばこに加え、医薬、食品を柱として、企業価値の増大に向けた事業運営を行っております。

飼料製造業の主要企業

日本ペットフード株式会社

ペットフード業界の大手企業で、高品質な製品を提供しています。

日本ペットフード株式会社

ペットフードの製造販売

全農畜産サービス株式会社

農業協同組合系の企業で、家畜用飼料の製造・販売を行っています。

全農畜産サービス株式会社

畜産施設設計、畜産資材販売、畜産の生産・販売、素畜の販売

飲料・たばこ・飼料製造業の特色と課題

多様な製品ラインナップ

飲料製造は、幅広いジャンルで多様な製品を取り扱っているだけに、消費者ニーズの変化に応じた商品開発が求められます。

先んじた積極的な開発姿勢は、特にライバルとの大きな差別化ポイントになるはずです。

健康志向の高まりに伴い、低糖質飲料やオーガニック製品の需要が増加しているので、商品単価を上げる機会になるでしょう。

たばこ製造は、新たなライバルの参入がない分、市場を独占できますが、たばこ離れの流れは避けられず、苦戦は必至と思われます。

法規制と社会的責任

たばこ製造業は、健康や子供への影響から厳しい販売規制が敷かれ、広告に関する制約も多く、自由度が少ない業種です。

また、たばこ税は増税のターゲットになりやすく、その度に愛煙家を失うリスクがあります。

喫煙場所の減少もマーケット縮小の要因になるでしょう。

飼料製造業では、家畜の健康や食品安全を最優先に、高い品質管理が求められています。

特に愛犬や愛猫の健康に配慮する飼い主の増加で、無添加やグルテンフリーなどの高級ペットフードのラインナップが好まれる流れがあるため、メーカーはそれに応えなければ生存競争に勝ち残れないでしょう。

今後は厳密な情報開示とトレーサビリティが求められるなど、より高度な責任を果たす義務を負うかもしれません。

国際競争と輸出入

高品質な日本製品にまだ一日の長があるものの、グローバル化の進展により、海外市場への進出や国際的な競争が激化しています。

飲料業界では海外ブランドとの競争が顕著であり、各企業は独自のブランド戦略やマーケティングを展開しています。

今後は中国などの巨大資本メーカーが国内市場に進出してくる可能性も視野にいれておく必要があるでしょう。

また、積極的なM&Aで相手のブランドを買収するケースも増えています。

これまでは「買う側」でしたが、今後は「買われる側」になる事例が増えるかもしれません。

飲料・たばこ・飼料製造業の展望

健康志向の高まりと製品開発の方向性

飲料・たばこ・飼料製造業は、消費者の高齢化に伴う健康志向の高まりに適応する必要に迫られています。

飲料業界では、低カロリー飲料や糖分を抑えた製品、プロバイオティクス飲料などの機能性食品が注目されています。

また、アルコール度数を抑えたり、ノンアルコールの製品を充実させるなど、アルコール離れへの対応も必要になりそうです。

たばこ製造業では、従来の紙巻たばこに代わり、加熱式たばこや電子たばこの市場拡大が唯一の希望なので、ここへの注力が明確になっていくかもしれません。

飼料業界でも、動物の健康を重視したオーガニック飼料や添加物を抑えた製品の需要が増加しています。

今後も家畜の健康への影響を重視した製品がより多く開発されるでしょう。

環境対策と持続可能性への取り組み

環境意識の高まりを背景に、持続可能性への対応が重要な課題となっています。

リサイクル可能な包装材の採用

プラスチックごみ削減のため、再利用可能な素材や生分解性包装材の導入が進んでいます。今後はペットボトルが標的にされる可能性が高いため、環境に配慮した代替品が登場してくると予想されます。

製造プロセスの改善

二酸化炭素排出量を抑えるため、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの活用が推奨されています。また、効率的な輸送網構築のため、ライバル企業とのトラック相乗りなども実現しています。

デジタル技術の活用

飲料・たばこ・飼料製造業全体の競争力を高めるためには、デジタル技術の活用が不可欠で、現実的に次のようなデジタル化が進行しています。

製品開発の効率化

従来のPOSデータに加え、AIやビッグデータを活用して、消費者の嗜好やトレンドを分析し、迅速な商品開発を実現する取り組みが進んでいます。製造技術のブレイクスルーが期待されています。

サプライチェーンの最適化

IoTやブロックチェーンを導入し、生産(品質管理)から物流、販売・マーケティングまでのプロセスを効率化する計画が現実化されつつあります。

マーケティングのデジタル化

従来のマスメディアへのCM出稿ではなく、SNSやEコマースを活用した消費者へのダイレクトアプローチで、新たなユーザーコミュニケーションを模索しています。

国際市場への展開

比較的安定しているものの、国内市場が成熟化する中、海外マーケットへの進出は多くの企業にとって重要な経営戦略となっています。

飲料メーカーは欧米やアジアだけでなく、オーストラリアなどもターゲットにしています。

たばこ製造業でも、規制の少ない市場や新しい消費者層をターゲットに、加熱式たばこや無煙たばこの販売強化が進むと予測されます。

飼料製造業では、アジアや新興国市場での中産階級の増加に伴い、高品質なペットフードの需要が拡大しているため、その開拓が急務になっています。

まとめ

飲料・たばこ・飼料製造業は、商品提供を通じ、日常生活を支え、健康にも関与し、経済への貢献も大きい重要な産業であることはいうまでもありません。

中でも飲料は参入余地も大きく、多くの企業が市場を虎視眈々と狙っているので、今後の競争は激化していくと予想されています。

飲料・たばこ・飼料製造業は、厳しい時代を迎えそうです。

健康志向の高まりで縮小する消費者ニーズ、法規制、増税、環境問題への対応など、明るい材料は多くないため、大きな変化を厭わない攻めの経営姿勢が求められるかもしれません。

今後はニーズに合わせた戦略的な製品開発、デジタル技術の導入、国際市場への対応が、飲料・たばこ・飼料製造業での生き残りポイントになると思われます。

飲料・たばこ・飼料製造業は、安心・安全の確かな品質を担保に、これからも国内外のマーケットでその存在感を増し続けると期待されます。

関連リンク

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