スマホ・SNS時代の購買行動モデル|AIDMAとAISASの違い

AIDMAとAISASの違い

AIDMAとは

マスメディア全盛期、消費者は商品情報の多くを「テレビ」「ラジオ」「雑誌」「新聞」のメディア4媒体から受け取っていました。

その購買行動モデルは以下の流れでした。

  • 1.情報を見て、商品を知る(Attention)
  • 2.商品を知った消費者が興味・関心を持つ(Interest)
  • 3.感情的に商品が欲しくなる(Desire)
  • 4.商品やブランド名を記憶する(Memory)
  • 5.行動・購買する(Action)

この購買行動モデルは、アクションの頭文字を取り「AIDMA(アイドマ)」と呼ばれていました。

AIDMAは、マスメディア広告時代が生んだ消費モデルだったのです。

AISAS

しかし、インターネットの登場とともに、AIDMAは変化していきます。

消費者は能動的に情報を探すようになり、さらに購買後にも特徴的な行動を起こすようになりました。

これが「AISASの法則」と呼ばれる購買行動モデルです。

  • 1.情報を見て、商品を知る(Attention)
  • 2.商品を知った消費者が興味・関心を持つ(Interest)
  • 3.商品やブランドを検索する(Search)
  • 4.行動・購買する(Action)
  • 5.購買した後に共有する(Share)

AIDMAはマスメディアの特徴そのままに、情報を発信する企業側とそれを受ける消費者の相対関係でしたが、AISASは、検索(Search)という能動的な行動と、さらに消費者の行動がActionで終わらずに、その経験を共有し合う点(Share)が大きな特徴になっています。

まさにインターネット、とりわけSNSが普及した現代特有の行動といえるでしょう。

AISASへの変化の理由

現在は誰もがスマホを持つ時代です。

消費者は商品購入を思い立った瞬間にGoogleなどで能動的に「検索」ができるようになりました。

この検索行動には、「購入して失敗したくない」という心理的背景があります。

安価な消費財ならまだしも、高額な耐久消費財になるほど購入に対する心理的ハードルは高くなるため、後悔しないように検索を重ね、さらに類似商品も比較検討して、納得した上で購入するようになったのです。

それを可能にしたのが、SNSなどの「口コミ情報」です。

リアルな体験談は購入を悩む人にとってはとても有用です。

その口コミを参考に自分はどう判断したのか。

次は自分が口コミ情報を発信する。

そして、それがShareされる。

Shareは自身の承認欲求も満たされるため、誰もが口コミの投稿を積極的に行うようになったのです。

この「検索」と「共有」により、自社のWEBサイトによる情報発信の優劣で売上が上下するようになりました。

また、SNSの有効活用により、上手に口コミをコントロールして、広告だけでは伝えきれない「生の声」を管理する必要に迫られるようになったのです。

AISASの具体的な行動

AISASの具体的な事例は以下の通りです。

御社の扱う商品を当てはめながらイメージしてみてください。

1. Attention(注意)

御社は商品販売のために広告を作り、Google やYahooのリスティング広告、またはSNS広告に出稿します。

広告はお金を払って Attention(注意)を引く行為で、認知獲得を目的としています。

御社が扱う商品ジャンルに興味を持つ消費者に知ってもらうための第一歩なのです。

2. Interest(興味)

広告をクリックさせ、御社商品の特徴やメリットを網羅したランディングページ(LP)に誘導します。

LPには価格や素材などの詳しい商品情報や利用シーンの写真や動画を掲載します。

これは、消費者の Interest(興味)を惹くことを目指したものです。

消費者はじっくりとLPを見て、商品購入後の自分をイメージしはじめます。

このイメージさせることが重要なのです。

「便利そう」「使ってみたい」「自分に合っている」と思わせる作りにすることがLP制作のポイントです。

3. Search(検索)

LPによって、よいイメージを植え付けても、消費者の不安は完全に払拭できません。

「企業はよい面ばかりを強調しているのではないか」と逆に不安になるのです。

そこでSNSで口コミを探し、比較サイトで競合製品を検索しはじめます。

つまり、検索行動とは「自分の判断が間違っていないと背中を押してほしい」という心理なのです。

そこで御社は先回りしておきます。

SNS口コミをできる限りコントロールしておくのです。

また、商品の詳細かつ正確な情報の開示、加えて、他社比較の優位性などを消費者の目に付くようにしておくのです。

それらを見比べることによって、消費者は実際に購買するかどうかを判断するのです。

4. Action(行動)

買う気持ちに傾きつつも、購買への不安は若干残ります。

「いつ届くのか?」「しっかり梱包されるのか?」「決済方法は?」「クレームは受け付けてくれるのか?」など。

これら購買への不安を払拭させる必要があります。

LPの段階でなるべく多くの不安を払拭しておくことが、購入を後押しすることになります。

さらに購買までのステップを簡単な仕組みにしておくこと。

このフローが簡単であればあるほど、不安は減少します。

5. Share(共有)

Share(共有)は今後の売れ行きを決める重要な「口コミ」を獲得できるかが試されるフェーズです。

「とっても使いやすい!大満足です」「友達にも薦めます」といった評価だけではなく、購入者それぞれの気付きが、SNSで共有されるようになります。

この口コミが、次に購入を考えている消費者の判断材料として効果を発揮しはじめるわけです。

もちろん期待を裏切った場合、よくない口コミが広がり、自然発生的なネガティブキャンペーンが始まります。

こうなると手の打ちようがなくなります。

まとめ

これからのネットビジネスでは、検索や口コミを無視することはできません。

とはいえ、すべての商品にAISASが当てはまるわけもありません。

コモディティ化した商品の場合、依然としてAIDMAが有効です。

ネットビジネスは商品特性や価格、メインターゲットの属性や消費行動によって戦略を立案することが大切なのです。